IFRS適用に備えて、海外子会社(もしくは国内子会社)の決算期を親会社とそろえる場合は、
「決算期変更」という方法と「仮決算」という方法がありますが(詳細はアーカイブ 決算日統一その1を参照)、今回は法定決算を変更できるにもかかわらず、決算期変更ではなく、「仮決算」で対応するケースについて紹介します。
1.税務上のメリット
法定決算期を変更することで、税務ポジションによっては税務上デメリットを受ける場合があります。
例えば、繰り越し欠損に期限がある場合で、決算期を12月から3月に変更した際、その3ヶ月間の決算を「1期」ととらえられ、欠損の有効期限が9ヶ月短くなるケースが考えられます。
キャッシュフローに影響が出るので、税務上の影響は慎重に判断する必要があります。
2.決算早期化に不安のある会社
決算早期化に不安がある会社は、親会社の決算報告期日に決算書を間に合わせられても、その「精度」に不安が出てきます。
適当に決算をされて、後々エラーが続出してしまっては大変です。
そのため、法定の決算期は変えずに12月のままにして、法定監査を事前に受けることで、精度が上がります。
ただ、親会社の監査人が、日本の親会社用3月仮決算に対して、追加で監査を求めるほど重要な子会社であれば、監査コストが法定決算と親会社決算の二重でかかるため、留意が必要です。3.法律以外の理由で決算期を変更できない会社
例えば、12月でないとできない年次決算プロセスがある場合もしくは、ビジネス効率に著しい悪影響がある場合には仮決算を選択する場合が考えられます。
以上、IFRSでは親会社と子会社の決算期の変更について「仮決算(consolidation purpose provisional closing)」
を認めていますので、子会社の状況に応じた変更を選択する必要があります。
法定決算期を変更することは監査コスト等の2重コストおよび帳簿の2重管理が不要の点でメリットがありますが、上記のケースの場合には、まずは「仮決算」で対応し、時間が経過し、問題が解決してから改めて決算期を変更するというのも一つの方法です。

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