現在以下で日本基準の論点整理が発表され、コメントが募集されています。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/summary_issue/kinsho-kentojokyo_2011/
そもそも複合金融商品ってなんだってところからなんだが、
とりあえず、一般事業会社にはそんなに存在せず、この基準がトピックになるのは特定の金融機関に限定されます。
複合金融商品は現行の日本基準では
次のすべての要件を満たす場合
組込デリバティブのリスクが現物の金融商品に及ぶ可能性があること
組込デリバティブと同一条件の独立したデリバティブが、デリバティブの特徴を満たすこと
複合金融商品について、公正価値の変動による評価差額が当期の損益に反映されないこと
この場合に区分処理が行われますが、コレ以外の場合にも上記要件を満たさない場合が、
管理上、組込デリバティブを区分している場合には区分処理の選択が可能です。
一方IFRS9号(2011年3月28日現在)では
次のすべての要件が複合商品に組み込まれたデリバティブを区分処理する要件です。
組込デリバティブの経済的性格及びリスクが、主契約の経済的性格及びリスクに密接に関連していないこと
組込デリバティブと同一条件の独立の金融商品がある場合、それがデリバティブの定義に該当すること
複合商品が、公正価値で測定して公正価値変動を純利益に認識するものではないこと
複合商品の事例としては以下があげられています。
これについは、上記下線の組込デリバティブの経済的性格及びリスクが、主契約の経済的性格及びリスクに密接に関連している場合とそうではない場合に分けて事例を記載しています。
組込デリバティブの経済的性格及びリスクが、主契約の経済的性格及びリスクに密接に関連しているものとはみなされない場合の例を次に示す。これらの事例に該当するとともに、他の要件に該当している場合、組込デリバティブは、主契約と区分して処理する。なお、これらの例は網羅的なものではない。
(1) 負債商品に組み込まれたプット・オプションのうち、株価や商品価格又は指数に応じて価値が変動する資産と交換で、保有者が商品を買い戻すことを可能にするもの
(2) 負債商品の満期まで残存期間を延長することを可能にするオプション、又は、残存期間を自動的に延長させる条項(ただし、延長にあたって、当該時点における市場金利に近似する利率への修正が行われる場合を除く。)
(3) 負債商品に組み込まれた株価連動型の金利又は元本の支払
(4) 負債商品に組み込まれた商品価格連動型の金利又は元本の支払
(5) 負債契約に組み込まれたコール、プット、又は期限前償還オプション(ただし、次のいずれかに該当する場合を除く。)
① オプションの行使価格が、各行使日において、組込対象である負債商品の償却原価にほぼ等しい場合
② 期限前償還オプションの行使価格が、主契約の残存期間に係る機会金利の現在価値にほぼ等しい金額を貸手に補填するようにされている場合
(6) 負債商品に組み込まれたクレジット・デリバティブで、特定の参照資産の信用
リスクを他者に移転することを可能にするもの
組込デリバティブの経済的性格及びリスクが、主契約の経済的性格及びリスクに密
接に関連しているものとみなされる場合の例を次に示す。これらの事例に該当する場
合、組込デリバティブは、主契約と区分して処理しない。なお、これらの例は網羅的
なものではない。
(1) 基礎数値が金利又は金利指数である組込デリバティブのうち、主契約である利付負債契約に関連して授受される金利の額を変更させる可能性のあるもの(ただし、複合商品の保有者が投資のほとんどすべてを回収する方法で決済することができない場合、又は、組込デリバティブによって、複合商品の保有者による当初の収益率が少なくとも2 倍以上になりうるとともに、主契約と同条件の契約の市場金利と比較して少なくとも2 倍以上の収益率となりうる場合を除く。)
(2) 負債契約に組み込まれたフロアー又はキャップのうち、契約の発行時におけるキャップ利率が市場金利以上、あるいは、フロアー利率が市場金利以下であり、かつ、主契約との関係でレバレッジがかけられていないもの
(3) 資産(例えば、商品)の売買契約に含まれている当該資産の売買価格にキャップ又はフロアーを設ける条項のうち、当初時点でアウト・オブ・ザ・マネーの状態にあり、レバレッジかかけられていないもの
(4) 負債契約に組み込まれた外貨デリバティブのうち、外貨表示による元本又は金利の支払を行うことにするもの(例えば、デュアル・カレンシー債)
(5) 金融商品以外の主契約(例えば、非金融商品に関する外貨建の売買契約)に組み込まれた外貨デリバティブのうち、レバレッジがかけられておらず、オプションの性質を有するものでなく、かつ、次のいずれかの通貨による支払が求められるもの
① 主な契約当事者にとっての機能通貨
② 世界の商取引において関連する商品又はサービスが獲得又は提供される際に、通常用いられる通貨
③ 取引が行われる経済環境において、非金融資産を売買する契約で通常用いられる通貨(例えば、地域の商取引において通常用いられる、比較的安定的で流動性の高い通貨)
(6) 金利のみ又は元本のみの契約に組み込まれている期限前償還オプションのうち、主契約が次の双方の条件を満たすもの
① 金融商品の契約上のキャッシュ・フローを受け取る権利から区分したことにより生じたものであること(ただし、当該権利に組込デリバティブが含まれていた場合を除く。)
② もともとの主契約である負債商品になかった条件を含んでいないこと
(7) リース契約に組み込まれたデリバティブのうち、次のいずれかに該当するもの
① リース料支払額を消費者物価指数に連動させるようなインフレ関連指数
(ただし、リース契約にレバレッジがかけられておらず、かつ、当該インフレ関連指数が企業の経済環境におけるインフレに関する場合に限る。)
② 関連する販売に応じて、賃借料を変化させるもの
③ 変動金利に応じて、賃借料を変化させるもの
(8) 金融商品に組み込まれたユニット・リンク型の特徴のうち、投資ファンドからのユニット毎の支払がユニットの価値(ファンド資産の公正価値を反映するもの)
に基づいてなされるもの
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